「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
俺達が教室に着いたと同時にチャイムがなる。
「よう、ぎりぎりセーフだな」
「おはよう、二人とも」
俺が息を整えていると、北川と香里が声をかけてきた。
「おはよう、ふたりとも」
「おっす」
とりあえず挨拶。
「それにしてもよくもまあ、毎日ぎりぎりでくるなぁ。飽きないか? 」
「そうだな、そこの奴がちゃんと起きてくれればな」
「うぅ〜、ごめん祐一」
ちょっと半べそを掻きながら名雪が謝る。
「そろそろ先生が来るわよ」
「ああ、そうだな」
そういい、席に着く。
Kanon 「未来へ・・・」 第二話
つまらない授業。
この時期になると、先生もたいした事をしないで自習が多くなる。
俺は何時ものようにぼーっとすることにした。
あっ、名雪また寝てやがる。
そういや俺も眠いな。
真琴の夢を見ちまったからな・・・。
「ねえ、相沢君。大丈夫? 顔色が悪いわよ」
隣の席の香里が話し掛けてくる。
どうやら香里にも分かったらしい。
「そういやそうだな」
いきなり近づいてきた北川がそういった。
「いやもう駄目。死にそう」
「大丈夫か? 保健室に行くか? 」
心配そうに言ってくる北川。
その隣でこれまた心配そうな香里。
「いや、冗談だ。ただ眠いだけ」
「なんだよ、心配させんなよ」
「ほんとに大丈夫? 」
信じられないのか香里は聞いてくる。
「ほんとに無理しない方が良いわよ」
「なんだよ、えらく心配してくれるな。もしかして俺に惚れたか? ああ、罪な俺」
香里はあきれたように言う。
「そんな冗談が言えるなら大丈夫ね」
「ほんとへんなやつ」
「うるさい」
そう言うと二人は自分の席について、教科書をながめ出す。
夢を見てる。
真琴が家に来たばっかりの頃の夢。
こんにゃくを眠っている俺に落としたり、花火を俺の部屋に投げこんだり、たわいも無いいたずらの数々。
どれも今は味わえない。
楽しかった日々。
真琴と居た冬。
暖かい肉まん。
さめた肉まん。
涙でしょっぱい肉まん。
もうこんな事無いのかな?
真琴。
真琴・・・。
「今日の授業はこれまで」
「起立、礼」
そんな声で俺は目を覚ました。
「おう、今日はどうす・・・、どうしたんだ、相沢?涙でてるぞ」
俺に声を掛けてきた北川が驚いて言った。
あれ、本当だ。
涙が出てる。
「いや、なんでも無い。寝ると涙が出るんだ俺は」
「ほんとか? まあいい、これで拭け」
そう言ってハンカチを俺に渡す。
「悪いな」
遠慮無く借りた。
「今日は早く帰って寝ろよお前」
「なんだよ急に? 」
「まだ顔色悪いぞ。眠いだけとか言っておきながら、ほんとは調子悪いんだろ? 」
ありがたいことを言ってくれる。
俺はまじで体調が悪くなってきていた。
「ああ、そうするよ。じゃあな」
ハンカチを返すと、席を立つ。
「じゃあな」
あとがき?
お待たせしました。ようやく2話目です。しかしほとんど進まなかった。
あっ、やめて、物を投げないでください。
次回こそ進展があります。だから見放さないでくださいね。
BASARA