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中級者のための"耳すま"講座 (2003/11/17更新) |
このページの項目
カントリーロードの英語・日本語歌詞をはじめ 製作過程でのエピソードもたくさん載せています。
1 ●スタジオジブリが”耳をすませば”を作ったきっかけ | 2 ●佳作小品にならなかった”耳をすませば” |
3 ●劇場版”耳をすませば”の音響 | 4 ●”耳をすませば”の舞台モデル |
5 ●”耳をすませば”のオープニングに流れる曲 / 英語歌詞 | 6 ●ムーンのキャラクター |
7 ●主題歌”カントリー・ロード” / 日本語歌詞 | 8 ●地球屋でカントリーロード |
9 ●クレモーナ | 10 ●ラピスラズリ |
11 ●雫の空想シーン | 12 ●木版画 |
13 ●美しい夜明け |
スタジオジブリが”耳をすませば”を作ったきっかけ
それは1989年のことでした。いつものように山小屋に来ていた、
宮崎 駿さんは初めて少女マンガ誌を買いました。
しかし、作品に馴染めなかったため、気持ちがおさまらなくなり
もう一度少女マンガ誌を買いました。
そこに”耳をすませば”の連載2回目が載っていたのです。
他の作品と違い、甘ったれてなく、バランス感覚が働き、
描写のあちこちにリアリティーが感じられる作品でした。
しかし、このときは映画にする理由が見りませんでした。
宮崎さんと近藤 喜文さんは20年来の知り合いでした。
近藤さんは、少年少女の出会いをやりたいと思っていました。
そして宮崎さんは、彼にいつか「さわやかな出会いもの」の機会を作ろうと思っていました。
スタジオジブリが”平成狸合戦ぽんぽこ”を作っている1993年のことでした。
大作の後は、スタッフに疲れが残ります。宮崎 駿さんはあまり手間の
かからず、肩のこらない小品をやって、スタッフの気分を変えたいと考えました。
そこで佳作小品シリーズと銘うって「安く、早く、うまい」作品の第一号として
近藤喜文監督”耳をすませば”が提案されました。
・
佳作小品にならなかった”耳をすませば”
当初、宮崎プロデューサーの計画では、早く、安く仕上げるために、絵コンテをきっちり
そろえてから作画作業にかかろうと考えていました。ところが、構想がどんどん膨らみ
絵コンテ作業が長期化、完成を待ってからでは、スケジュールが間に合わなくなりました。
結局、当初の”佳作小品”はふきとび、いつものジブリ長編になったのでした。
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劇場版”耳をすませば”の音響
この”耳をすませば”は日本映画ではじめてのドルビーデジタル方式が採用されています。
ドルビーデジタルとは、前3つ、後ろ2つ、重低音の計6つのスピーカーから別々の音が
出せる方式で、これまで以上に臨場感をあじわえるものです。
絵コンテが完成し、原画も順調に進行していた1994年10月に
アメリカ・ドルビー・ラボラトリーの副社長がジブリを訪ねました。
そして、宮崎プロデューサーにこういったそうです。「日本のスピル
バーグといったらアナタでしょう。アナタが音を良くしようと思わなければ、
日本の映画の音は一向によくならない。」これに、奮起した宮崎さんは
「よし、じゃあ今回はぜひ、そのドルビーデジタルを使ってみよう。それだけじゃなく
音作りの面にたっぷり時間をかけて、今までにない、いい音を作っていこう」
と、檄をとばしたのでした。
この結果、”耳をすませば”は細かい環境音までしっかり入った、
臨場感あふれる映画になったのです。ただ、その当時ドルビーデジタルに
対応した映画館は、ごく少数でしたが。
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”耳をすませば”舞台のモデル (2000/10/17修正)
”耳すま”舞台のモデルは東京都を東西にはしる、京王線沿いです。
特急停車駅であり、京王帝都電鉄の本社がある、
”聖蹟桜ヶ丘駅”付近がそのモデルに設定されています。
まず、聖蹟桜ヶ丘駅から、南にまっすぐたどります。
川(大栗川/霞ヶ関橋)を渡ると、くねくねとした道(いろは坂)があるはずです。
そこが、劇中で図書館のあった坂になります。
地球屋は、さらに南にくだった場所のロータリー。
雫の家は、さらにさらに南にくだった団地付近の雰囲気が近いようです。
衝撃のラストシーンの場所(聖司がいうところの”秘密の場所”)に似た雰囲気の場所もあります。
いろは坂、西の斜面の上です。
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”耳をすませば”のオープニングに流れる曲 (2003/08/04修正)
この曲はオリビア・ニュートン・ジョンという女性歌手が歌っています。
原題「TAKE ME HOME COUNTRY ROADS」
作詞・作曲;Bill Dannoff,Taffy Nivert and John Denverです。
なお、最初はジョンデンバーが出した曲で、
オリビアニュートンジョンが後にカバーしたものです。
このオリビアの曲は1975年前後?に日本で大ヒットしたそうです。
この曲が入ったCDは、現在”EMI”より、多数発売されているようです。
TAKE
ME HOME, COUNTRY ROADS
★「Country roads, take me home
To the place I belon
West Virginia, mountain momma
Take me home, country roads」
Almost heaven, West Virginia
Blue Ridge Mountains, Shenandoah River
Life is old there, older than the trees
Younger than the mountains, growin’ like a breeze
★Repeat
All my mem’ries gather’ round her
Miner’s lady, stranger to blue water
Dark and dusty, painted on the sky
Misty taste the moonshine, teardrop in my eye
★Repeat
I hear her voice, in the mornin’ hour she calls me
The radio reminds me of my home far away
And drivin’ down the road I get a feelin’
That I should have been home yesterday, yesterday
★Repeat
★Repeat
Take me home, country roads
Take me home, country roads
・
ムーンのキャラクター
雫が電車に乗って図書館へ向かう途中初めて登場します。
ムーンはこの映画のマスコットにもなった、デブネコですが、原作では、普通の黒猫でした。
近藤監督は、「原作どおりやりましょう。『魔女の宅急便』で一度、出していても、やっぱり
猫といったら、黒猫じゃないですか。」と、言ったそうですが、宮崎さんは「俺はそうは思わん」と
いったそうです。結局、ジブリ内で、人気投票をして、デブネコになったのです。
・
主題歌”カントリー・ロード”
この歌詞は、ジブリでほとんどの作品のプロデューサーをしている
鈴木敏夫さんの娘さん、鈴木 麻実子さんの訳詞が使われています。
カントリー・ロード
★「カントリーロード この道 ずっとゆけば
あの街に つづいてる
きがする カントリーロード」
ひとりぼっち おそれずに
生きようと 夢みてた
さみしさ 押し込めて
強い自分を守っていこ
★リフレイン
歩き疲れ たたずむと
浮かんで来る 故郷の街
丘をまく 坂の道
そんな僕を 叱っている
★リフレイン
どんな挫けそうな時だって
決して 涙は見せないで
心なしか 歩調が速くなっていく
思い出 消すため
カントリーロード
この道 故郷へつづいても
僕は 行かないさ
行けない カントリーロード
カントリーロード
明日は いつもの僕さ
帰りたい 帰れない
さよなら カントリーロード
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地球屋でカントリーロード
地球屋で雫がカントリーロードを歌うシーン。
このシーンは当初計画ではこの映画の一点豪華シーンの予定でした。
それだけに、最も盛り上がるこのシーンは製作も大変だったそうです。
最初にプロの演奏家に曲を演奏してもらい、その様子をビデオに収録。
そして、その映像を見ながら作画のスタッフが絵を描いていく、という方式。
このシーンに登場する楽器はヴァイオリン、ビオラ・ダ・ガンバ、
リュート、コルネット、リコーダー、タンバリンの6種。
当然指の動きも違い、それらを正確にトレースするのが、予想以上に大変でした。
特に、ヴァイオリンの形を一定に描くのは至難の技でした。
結局、このシーンを作るためにかかった時間は半年、30分アニメに匹敵する、
約3000枚の動画が描かれることになったのです。
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クレモーナ (1999/01/11修正)
クレモーナは実在します。イタリア北部ミラノ近郊です。
ミラノから鉄道で1時間くらいです。
ヴァイオリンの名品を集めたストラディヴァリの博物館やシンボルの
鐘楼トラッツォなどがあります。
基本的に静かで地味な街のようです。
クレモーナの街はヴァイオリンの故郷と呼ばれ、
現在でも、世界中からヴァイオリン職人が集まり、
その腕を競っているそうです。
ヴァイオリンは16世紀始めに北イタリアで完成されたといわれ
名匠ストラディヴァリなどにより、
17、18世紀にクレモーナで最適な長さの比率が出来あがったそうです。
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ラピスラズリ (2000/05/16新規)
ラピスラズリは、古くから珍重された鉱物の一つです。
青い鉱物は大変すくなく、特に強い紫みの青のラピスラズリは、
アフガニスタンなどの限られた地域でしか産出しません。
ツタンカーメン王の腕輪にも使われました。
海を伝わったという意味で、ウルトラマリンとも呼ばれます。
大変貴重な顔料なのでキリスト教では聖母マリアの服に使う色でした、
マドンナブルーとも言われます。
日本では瑠璃といわれ、仏教の七宝の一つです。
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雫の空想シーン
雫が物語を考えていて空想するシーンが3回でてきます。
このシーンはイバラードと呼ばれる美術作品をもとにつくられました。
イバラードは井上 直久さんの作品で、ご本人が直接美術スタッフとして
”耳をすませば”製作に参加されました。
このシーン、当初の音楽シーン中心では、映画にならないと判った
宮崎プロデューサーがイバラード作品を思いだし、もう一つのポイントとして
急遽井上さんにアポイントをとり劇中劇というかたちで使われました。
2回目の空想シーンではデブネコのムーンがてんとう虫に乗って出てきますが、
最初は帽子をかぶった大男でした、しかしスタッフに不評だったため、変更になりました。
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木版画 (2003/11/17)
雫が、空想から目覚め、目の前にあった本をパラパラとめくった時
牢屋でバイオリンを作る人の木版画が出てきます。
この木版画を作ったのが、宮崎駿の次男、宮崎敬介氏です。
木口木版と呼ばれる、木を真横に切った面に、彫刻する技法を使っています。
1mmの中に数本もの線を刻み込むそうです。
幻想的でファンタジックな印象が特徴です。
美しい夜明け
映画のクライマックスのシーン。雫と聖司の未来を暗示する、象徴的なシーンですが、
このシーンは川崎市の読売ランドの鉄塔の上から撮影された写真を基につくられました。
夜も明けていない早朝、ジブリのスタッフ6人が読売ランドに集合、
6人は鉄塔の上から、夜明けを待ち、ついに都心の朝もやのなかから
ゆっくりと顔を覗かせた太陽とそれに照らし出されて輝く美しい街並みを目の当たりにしました。
その時に撮ったビデオと写真を基に、ラストシーンの製作を行ったそうです。
参考文献:ロマンアルバム耳をすませば
コミックボックス1995年9月号
スタジオジブリ作品関連資料集5
「バロンのくれた物語」の物語
This is Animation 耳をすませば
アニメ−ジュVOL.201
アニメージュVOL.238
コミック「耳をすませば」
コミック「耳をすませば 幸せな時間」
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(C) Ryoukan