同級生2

折れた翼<前編>
<Story Of Sakurako Sugimoto & Yui Narusawa>



12月22日


出会ったのは偶然...
惹かれたのは......必然......
私には無い物を持っていたあなた。
自由に空を飛べる翼。純粋で、優しい瞳。
誰よりも暖かいあなた......
私はあなたに恋をした。


12月22日 15:00
杉本桜子

私がこの病院に入院したのは、中学3年生の冬の終わり。
中学卒業を間近に控え、卒業後はこの町にある八十八学園に入学するはずだった。
だけど........
新しい環境で新しい友達をたくさん作り、休み時間には友達と他愛も無い話に花を咲かせる。
そんな私のささやかな夢が叶う事はなかった。
中学卒業を目前に、私はこの病院に入院する事になったのだ.......
それでも入院した当初は、早く退院して高校へ通う、という希望を持っていた。
だけど、入院して1ヶ月が経ち...2ヶ月が経ち...半年が経ち.....
私の心からは徐々に希望の光が薄れていった。
一日の殆どをベッドの上で過ごし、月に何度か検査を受ける。
窓から見えるのは、四季によって多少は異なる事があっても、いつも同じ風景。
私は...生きる事に疲れていた.....

”............”
その日も私はいつも通り窓の外を眺めていた。3年間、ずっと見続けてきた風景。
中庭に生えている大木。空をゆっくりと流れる雲。
この病院に入院してきてからいつも見ている風景だった。
もっとも、いつもと言っても私がベッドから起きられる時間は2時から5時までのわずか3時間。
その時間も病院の外に出る事は許されず、ただ上半身を起こして外を眺めるだけだった。
”.......”
雲がゆっくりと流れている。私とは違い、自由に何処へでも行く事が出来る雲。
形を変える事はあっても、いつもと同じ雲。
今日もまた、いつもと同じ1日が過ぎてゆくと思っていた。
だが、その日はいつもと違っていた。
”コツン”
外を眺めていた私の視界を、小さな音と共に何かが横切った。
”.....?”
最初は何が起こったのか分からなかった。だけど、2度目に何かが横切った時、
それが小さな石だと言う事に気が付いた。私はベッドから身を乗り出し、
窓の下、石が飛んで来た方を見た。
そして、中庭に立って私を見上げている人がいる事に気付いた・・・・・
それが私と彼、りゅうのすけ君が初めて出会った瞬間だった。


12月22日 15:00
りゅうのすけ

俺が八十八学園に入学して、早くも3年の月日が流れていた。あと3ヶ月もすれば卒業である。
だが、俺はまだ進路が決まっていなかった。同級生達は受験や就職などで
忙しく動き回っていると言うのに、俺には進学する気も就職する気もなかった。
別に何もしたくない、と言うわけではないのだが、自分が何をしたいのかが分からなかったのだ。
そんなわけでその日も俺は町中をぶらついていた。
特別用事があったわけではなかったのだが、何もせずに家にいるのが退屈だったからだ。
30分ほど商店街をぶらつき、家に向かって歩きはじめる。
住宅街を通り、病院の前を通り....そこで足が止まる。
普段なら病院など素通りするのだが、病院の2階の病室に、人影が見えたような気がしたのだ。
俺は病院の中庭に入り、目を凝らす。
....確かに人が居る。俺と同じ年くらいの女の子のようだが...、
窓の外を眺めたまま、微動だにしていない。
当然、俺が見ている事には気付いていないようだ。
俺にはその顔が、ひどく寂しそうに見えた。
”.....よし”
俺は足元に落ちていた小石を拾い、二階の窓に向かって投げる。
小石は一直線に飛んで行き、狙い通りの場所に当たり、小さな音と共に跳ね返って落ちてくる。
窓の中の彼女は、一瞬ピクリと動いたのだが、こちらに気付いた様子はなかった。
”.....もう一回...”
俺は再び小石を拾い上げ、窓に向かって投げる。
”............”
今度は彼女も気付いたらしく、窓から俺の方を見た。
一瞬、俺と彼女の視線が交錯する。
「何を見てるの?」
俺は二階の彼女に向かって声をかけた。
だが、距離がある事と窓が閉まっているからか、俺の声を彼女に届かなかったようだ。
それでも、俺が何か言っているのが分かったらしく、彼女は可愛らしく首をかしげている。
俺はもう一度声をかけようかと思ったのだが、こんな所で大声を出して話していたら
回りの人にも聞こえてしまうし、第一疲れると思い何とか彼女の側に行けないかと考えた。
”.......”
辺りを見回した俺の目に付いたのは、一本の大きな木であった。
どうやらその木は、彼女の部屋の前まで枝を伸ばしているようだ。
”・・・・・・・・・よし。”
俺はその木に手をかけると、ゆっくりと昇っていく。
かなりデコボコしている為、昇るのはそれほど大変ではなかった。
俺は10秒ほどで彼女の部屋の前に到達する。
”............”
彼女は驚いたような顔をして、俺の方を見ていた。
だけど、驚いたのは俺も同じだった。
”......か、可愛い..”
茶色の髪をウェーブさせて病院のベッドの上に座っている彼女は思わず
”守ってやらなくてはいけない”
と思ってしまうほど、はかなげで可愛らしかった。
だが、顔色はあまり良くなく、元気がないように思える。
一瞬かたまってしまった俺を見て、彼女は再び首をかしげて見せる。
俺は慌てて、身振りで窓を開けてくれるように彼女に頼んだ。
彼女はどうやら理解できたらしく、ゆっくりと窓を開けてくれた。
「こんにちは。」
俺は彼女を警戒させないように、にっこりと笑いながら話しかけた。
彼女は警戒しているというよりも、驚いているような顔をしていた。
それでも小さな声で、
「....こんにちは。」
と返してくれた。
その声は彼女の見た目通り、可愛らしくて澄んだ声だった。
だが、やはりその声にも元気がない。
「何を見てたの?」
「.....空...」
彼女は小さな声で答える。
「あなた、誰?」
「俺はりゅうのすけ。君は?」
俺の言葉に彼女は一瞬、何かを考えるような顔をした後、小さな声で答えた。
「桜子。杉本桜子。」
「可愛い名前だね。」
俺はお世辞ではなく、本心でそう答える。
だが、彼女は何の反応も示さず、じっと俺を見ている。
いや、俺を見ていると言うより、たまたま視線が俺の方を向いていただけで、実際には
何も見ていないような印象を受ける。
「退屈じゃない?病院に一人で居るのって?」
「仕方ないじゃない。私、病気なんだから。」
そう言った彼女の言葉は、自分の事を話すというより、まるで無関係な人間の事を
話しているかのように、なんの感情もこもっていなかった。
「そ、そりゃそうだ。あははははは....」
彼女の反応に俺は、乾いた笑いをあげる事しか出来きない。そんな俺を見て彼女は
「...変な人。」
と小さく呟く。
「.....ねぇ、何処が悪いの?」
「....さぁ?」
やはり彼女の反応は、まるで他人の事を話しているかのようだ。それでも俺は言葉を続ける。
「俺はね、頭が悪いの。」
俺の言葉に彼女は、俺が目の前に居る事に始めて気付いたように俺を見る。
もちろん、さっきまでも俺の方を見ていたのだが、その視線は何処か虚ろなものだった。
だが、ほんの僅かではあるが、今の彼女の視線、意識は俺を見ていた。
「それに顔も。」
俺は言葉を続ける。彼女は俺の言葉を聞き、俺の顔をじっと見詰め
「...頭の事は分からないけど......顔は悪くないと思う...」
と、呟くように言った。俺は
「ありがと。」
と言って、彼女ににっこり微笑みかけた。
そんな俺につられたのか、彼女もうっすらと微笑んでくれる。
先ほどまでの反応が全く無関心のようだったから、多少でも笑ってくれたのはうれしい。
「それにしても驚いちゃった。急に木に登り出すんですもの。」
彼女は俺の体に付いた、木の葉を見ながら話し出す。
どうやら少しは俺に関心を持ってくれたようだ。
「どうしても君と話をしてみたかったんだ。」
俺は”君が寂しそうだったから”という言葉を飲み込み、それだけを口にする。
すると彼女は驚いたように
「.....私と?」
と言った。その口調は心底驚いたようだった。
まるで、この部屋に自分以外の誰かがいるかのように。
「君以外の誰が居るんだよ?俺は病室のベッドや壁と話しをする趣味はないからね。」
俺が多少呆れながらそう言うと、彼女は俯きながら
「....そう...私と話したかったんだ...」
と呟いた。俺にはその顔が、どことなく嬉しそうに思え、更に言葉を続けた。
「....ねぇねぇ、君の住所と電話番号を教えてよ。」
俺の言葉に彼女は、一瞬驚いた顔をした後
「....ぷっ。」
と小さく吹き出す。
「え?俺何か変な事、言った?」
俺は”わざと”不思議そうな顔をしながら彼女に尋ねる。
すると彼女は、おかしそうに口元を押さえながら
「だって...病院の窓越しにナンパなんて..聞いた事がないんだもの...」
彼女の笑顔は可愛らしかった。もともとの顔が可愛いのだが、先ほどまでの彼女は、
どこか見るものを辛くさせるものがあった。
だが、今の彼女の笑顔は、見る者の心を暖かくさせる、そんな笑顔だった。
それでこそ冗談を言ったかいがあるというものだ。
俺は楽し気に笑う彼女をしばらくの間見つめていた。
そんな俺に気付いたのか、彼女も俺の方を見る。
その時になってよううやく、俺はある事に気付いた。
「...あれ?顔色悪いよ...大丈夫?」
最初に見た時から顔色があまり良くなかったのだが、今は先ほどよりも青ざめて見える。
「...うん。ちょっと疲れたみたい。久しぶりに笑ったから....」
彼女はそれだけ言うと、いささか辛そうに顔を伏せる。
・・・・・彼女が病人である事を忘れていた。
彼女が笑ってくれたから、調子に乗って少し長居しすぎてしまったようだ。
「....ごめんね。......また明日来るから...」
これ以上話すと、彼女の体調が悪化すると思い、俺は木から下りようとした。だが
「あの...」
「え?」
降りようとしていた俺を、彼女の言葉が引き止める。
「...名前.....もう一度、名前を教えて。」
「俺はりゅうのすけ。」
「....あの...私、2時から5時の間しか、起きていられないの。」
彼女の言葉に俺はちょっとほっとする。
さっき彼女が笑ってくれた事から、俺の来訪が嫌がられていないと思ったから
”また明日来るから”
と言ったのだが、もし嫌がられていたら、と多少心配していたのだ。
「うん、分かった。その頃にまた来るからね。」
俺はそう言うと、彼女に小さく手を振る。
そんな俺に彼女も微笑み、小さく手を振り返してくれた。



12月22日 15:30
杉本桜子

奇麗な瞳だった。やさしくて、暖かくて。
いきなり木を昇ってきた時は驚いたけど、私の事、気遣いながら話してくれてるのが分かった。
不思議と、住所と電話番号を聞かれた時も嫌な感じがしなかった。
結局は笑いすぎて気分が悪くなって、住所も電話番号も教えてあげられなかったけど。
もし、もう一度尋ねられてたら、答えてしまっていたかもしれない。
でも...彼は本心からそんな事を聞きたかったのではないような気がする。
私を笑わせるために...言ってくれたような気がする.....
本当に今日は楽しかった。笑ったのも、久しぶりのような気がする。
明日も来てくれるって言ってたけど....
本当に来てくれたらうれしい....
今日は久しぶりに、明日を楽しみにしながら眠れるような気がする.......




12月23日


小さな頃は、いつも一緒だった。
ご飯を食べるのも、遊びに行くのも、お風呂に入るのも。
大好きなお兄ちゃん。
でも.....いつからだろうか....
兄としてではなく、一人の男性としてお兄ちゃんの事を見始めたのは....


12月23日 13:30

「あれ?お兄ちゃん。これから出かけるの?」
玄関で靴を履き、扉を開けようとしている俺は背後からかけられた声に振り返った。
「ああ。」
俺の目の前に、髪を二つのお団子にした少女が立っていた。
...鳴沢唯。
俺の妹だ。と、言っても血のつながりはないし、法律上も家族ではない。
俺が8歳の時、俺の母親が死んだ。
その時、同じ時期に父親を亡くした唯と、唯の母親である鳴沢美佐子さんが
俺の家にやってきたのだ。
考古学者で、常に家を空けている親父がまだ幼かった俺の事を考えて、
その話を美佐子さんに持ち掛けたらしい。
「ねぇ、何処に出かけるの?」
「うるさいな...俺が何処へ出かけようが俺の勝手だろ。」
俺は必要以上に邪険に、唯を追い払う。
小さな頃は唯と一緒に遊びに行ったりもしていたのだが、最近は違う。
この歳になって
”血のつながっていない妹”
と一緒に行動すると、邪推をしてあらぬ噂を立てる奴等がいるからだ。
事実、一緒に学校へ登校しただけであらぬ噂を立てた輩がいた。
もっとも、そいつは二度とそんな口が利けないようにしてやったが。
「...最近お兄ちゃん、唯に冷たいよね....唯、お兄ちゃんに何か悪い事、した?」
鬱陶しそうに唯に向かって手を振る俺に、唯は寂しそうに話しかけてきた。
「...俺もお前もガキじゃないんだぜ?いつまでもべったりとしてられるかよ。
お前もさっさと彼氏でも作って遊びに行け。」
邪険に言いはなつ。唯の顔を見ないようにしながら。
「....唯は彼氏なんていらないよ........唯は...」
「と、とにかく俺は出かける!」
俺は何か言いかけた唯を遮ると、乱暴にドアを開け放つ。
そして、後ろを振り返らずにドアを閉めた。
このまま唯と一緒に居れば、唯の事を”妹”として見る事が出来なくなってしまうような
気がしたからだ。


12月23日 13:35
鳴沢唯

いつの頃からだろうか、お兄ちゃんが唯の事を避けだしたのは.....
高校2年の時、唯が無理を言ってお兄ちゃんと同じ学校に転校した時からだろうか...
小さな頃は、いつもお兄ちゃんと一緒に遊んでいた。
唯が近所の男の子にいじめられていると
「こらーー!!唯を泣かしたら許さねぇぞ!」
って、いつも飛んできてくれた。
でも...最近はろくに話もしてくれない。
お兄ちゃんが唯に気を使ってくれてるのは分かる。
唯とお兄ちゃんが仲良くしてると、変な噂をする人達がいるからだ。
でも...家の中でもお兄ちゃんは唯を避けているような気がする...
....何かお兄ちゃんに嫌われる事をしたんだろうか...
お兄ちゃんに冷たくされると、凄く悲しくなる......
お兄ちゃんは唯の気持ちを、全然分かってくれない....


12月23日 13:50
杉本桜子

気が付くと、2時になるのを心待ちにしている自分がいた。
ここ2年ほど、こんな気持ちになった事はなかったのに。
でも.....あの人は来てくれないかもしれない...
痩せていて、可愛くない私になんて会いに来てくれないかもしれない...
昨日、また来るって言ったのは、単なる気まぐれかもしれない....
期待と不安を胸に抱きながら、私はゆっくりと動いている時計を見つめていた....

時計の針が、2時を指す。
私は待っていたかのように、上半身を起こし....動きを止める。
本当は今すぐに窓から外を見て、あの人が居る事を確かめたかったのだが.....
恐かったのだ。
もし居なかったら.....
そう考えると、外を見る事が出来なかったのだ。
”.....でも...あの人は、また明日来るって言ってくれた...”
私は精一杯の勇気を出し、窓を振り返った.....


12月23日 13:59

俺は病院の中庭に立っていた。彼女に会いに来たのだ。
だが、俺はもやもやしたものを胸に抱えていた。
もちろん、彼女に会いたくないわけではない。
原因は...唯だった。
別に悪い事をしているわけでもないのに、何故か後ろめたい気がする。
小さい頃から一緒だった唯。
俺にとって、あいつは大事な家族だ。その唯を、俺は避けている。
もちろん、悪い噂を立てられないように、と言う事もある。
”だが.....それだけではない...。俺は..........”
俺はもやもやしたものを吹っ切るように、二階の窓を見上げた。
そこには...嬉しそうに微笑む彼女の顔があった。

「あなたって...約束を守る人なのね。」
「え?」
その日の彼女の第一声はそれだった。俺は思わず間抜けな声を上げてしまった。
すると彼女は嬉しそうの微笑み俺の顔を見詰める。
「だって昨日、また明日来てくれるって言ってたじゃない。」
”...やっぱり......可愛い....”
俺は彼女と顔を合わせているのが恥ずかしくなり、彼女から視線を外し宙をさまよわせる。
そして、特に意味はなかったのだが彼女のベッドに置かれた手を見た。
途端
「私の手って、青白くて病人らしい手をしてるでしょ......」
彼女は恥ずかしそうに両手をもじもじさせた。
「それに.....私痩せすぎてるから....恥ずかしい...」
そう言いながら本当に恥ずかしそうに俯き、上目遣いで俺の顔を見る。
その視線に再びドキッとしながらも、俺は平然を装い答える。
「そんな事ないよ。ちっちゃくて、女の子らしい可愛い手だと思うよ。でも.....
もう少し食べた方が良いかもしれないな...
そうすれば、早く病気も治るよ。」
俺はにっこりと彼女に笑いかけた。それに対して彼女は
「...うん。」
と頷くと、俺に向かって微笑みかけた。そのため、お互いに見詰め合う形になる。
”.......他の奴が相手ならなんて事ないのにな.....”
彼女に見つめられると何故か動揺してしまう。
「え、え〜っと...そう言えば、・・・・・君って学生?」
不意に彼女が吃りながら話し掛けてきた。
どうやら彼女も俺と同じように恥ずかしかったらしい。
「あ、ああ。そうだよ。八十八学園の3年生。今年で18歳。」
「...学校、楽しいでしょ?」
「あ、あはははははは。色々あるけどね。」
俺はあえて”色々”の内容を彼女に話さずに、そう答える。
すると彼女は少し寂しそうに笑いながら答えた。
「色々あるから楽しいんでしょ?私は......
毎日が同じ事の繰り返しだから退屈なだけ....
友達も......ターボだけだし...」
彼女はそう言って視線を窓際の鳥かごに移す。
その瞳は、見ているものを辛くさせる、寂しそうな瞳だった。
俺は思わず顔を曇らせる。
そんな俺に気付いたのか、彼女は俺に微笑みかける。
「でも今日は退屈じゃなかった。」
「どうして?」
「.....お話できたから。」
クスッと笑う彼女。
「あはははは。そんな事言ってると、毎日来ちゃうぞ?」
嬉しそうに話す彼女に、俺は思わず軽口を叩く。
すると彼女は驚いたように俺を見て、顔を赤くしながら恥ずかしそうに俯くと
「......うん...来てくれたら....嬉しい...」
と、答えた。彼女が赤くなると、俺まで赤くなってしまう。
「そ、それじゃ明日もまた来るから。桜子ちゃん、ちょっと疲れたみたいだからゆっくり休みなよ。」
俺は照れを隠すようにそう言うと、木を降りはじめる。
「気を付けて降りてね。」
そう声をかけてくれた彼女に軽く頷いて見せると、俺はゆっくりと降りていった....



12月24日


「お兄ちゃん、最近冷たいね......唯の事、嫌いなんでしょ?」
「嫌いな訳じゃない!でもお前と俺は兄妹だろ!?」
唯の瞳には大粒の涙が浮かんでいた。それでも、真っ直ぐに俺を見ている。
俺は胸が妙に痛み、半ば怒鳴るように否定する。
唯のこんな顔は....見たくない......
「そうだよね...唯とお兄ちゃんは......兄妹だもんね.....
だっ、だから.....桜子さんの方がいいんでしょ?」
唯の瞳から大粒の涙が零れ、その顔が悲しみに歪む。
「違う!俺は!」
「.....でも...お兄ちゃんがどんなに唯の事嫌っても.....
唯は...お兄ちゃんの事が....」
「駄目だ!それ以上は言っちゃ駄目だ!」
「嫌だよ。唯はもう我慢しないもん。唯はお兄ちゃんの事が...」
「止めろーーーー!!!!!」
俺は叫びながらベッドから飛び起きた。そう、ベッドから......
「.......ゆ、夢か.....」


12月24日 13:00

「お兄ちゃん、昨日はずいぶん遅くまで起きてたんだね。もうお昼過ぎてるよ。」
「........」
寝癖の付いた頭でリビングに降りていった俺に、唯が声をかけてきた。
だが、俺は何も答えない。
いや、変な夢を見たせいか、唯の顔すらまともに見れなかった。
しかし、唯はそんな俺には全く気付かず、更に話しかけてくる。
「今日は西園寺君の家でクリスマスパーティーだけど...お兄ちゃん、本当に行かないの?」
「....行かない。」
あまり無視するのも変だと思い、俺は仕方無しに答える。
ちなみに、西園寺というのは俺と唯のクラスメートだ。はっきり言って、嫌な奴である。
家が金持ちである事を、とにかく鼻にかける。
女には優しいが、男相手にはとことん尊大に振る舞う。そんな奴だ。
「....やっぱり行かないんだ.....唯も行くの、止めようかな.......」
「....行ってくればいいだろ。俺が行こうが行くまいが、唯には関係ない。
行って何か美味い物でも食ってこい。」
俺はそれだけ言うと唯を残し、リビングを後にする。.....我ながら自己嫌悪だ。
何故俺は唯にあんな態度を取ってしまうのか.....
唯が悪い訳ではないのに.....
「.....お兄ちゃんがいないと...つまらないよ....」
立ち去ろうとする俺の背中に、唯の呟きが聞こえてくる。
俺は聞こえないフリをして、リビングを後にした。


12月24日 13:00
鳴沢唯

お兄ちゃんがいないと唯はつまらないんだよ?
口に出して言っても、お兄ちゃんは分かってくれないの?
どうして唯の事を避けようとするの?唯はお兄ちゃんの邪魔なんてしないよ?
だから.....唯の側に居てよ.....
お願い.....だから..........


12月24日 13:50
杉本桜子

後10分で2時になる。今日もあの人は来てくれるだろうか?
昨日はちゃんと約束を守って来てくれた。
でも、今日は?
そう考えると、途端に不安で胸がいっぱいになる。
”大丈夫。あの人はちゃんと約束を守ってくれる人だから。”
何度そう自分に言い聞かせても、不安はおさまらない。
もし、来てくれなかったら...
”また一人ぼっちの生活に戻る....”
そう考えると、どうしようもなく不安になる。
あの人の事を考えると、嬉しくて、悲しくなる。暖かくて、寂しくなる。
”...あの人は来てくれる。後10分したら会えるんだ....”
自分にそう言い聞かせると、私はあの人の姿を思い描くように瞳を閉じた。


12月24日 14:00

俺は今日も病院にやってきた。2階の病室に........居た。窓から俺の方を見ている。
「おーーい!桜子ちゃーーん!!」
俺は大声でそう叫ぶ。自分の中にあるわだかまりを吹き飛ばすように。
大きく手を振る俺に気付いたのか、彼女も俺に向かって小さく手を振ってくれた。
そして今日も俺は、彼女と話をする為に木に手をかける......

「桜子ちゃんて、鳥が好きなんだ?」
「鳥だけじゃなくて、動物全部が好きなの。でも、病院で犬やネコを飼うわけにはいかないもの。」
今日の彼女は、昨日までより顔色が良いように見えた。
その頬は、ほんのりと桜色に染まっている。
元々が色白なだけに、余計目立つ。今も楽しそうに鳥かごの鳥を見ている。
が、楽しそうだったその顔が曇る。
「でもね.....この鳥は私なの.....病院という鳥かごから出れないの...
自由に飛び回りたくても、飛ぶ事が出来ないの.....」
寂しそうな彼女の声。
胸が.....痛む....。彼女がどんなに辛くても、俺には何もしてやる事が出来ない。
自分勝手に生きている俺は、彼女がどんなに辛いか分かってやる事も出来ない。
そんな不甲斐ない自分に、どうしようもなくイラつく。
「...ねぇ、変な事、聞いてもいい?」
急に声をかけられ、顔を上げる。するといつのまにか、彼女の顔に笑顔が戻っていた。
「りゅうのすけ君って...大切な人....恋人って...いるの?」
彼女は俺から目をそらし、一句一句を切るようにして聞いてきた。
俺の脳裏を一瞬、唯の顔が横切る。俺に向かって笑いかける、唯の顔が。
俺は...
「いないよ。恋人なんて。」
嘘ではない。唯は妹だ。俺にとって大切な家族ではあるが、決して恋人ではない。
俺は彼女に向かって、無理に笑顔を作ってみせる。
「そう...いないんだ.....恋人...」
彼女の様子は何処か”ほっ”としているように思えた。
「.....そういう桜子ちゃんはどんな男の人が好きなの?」
別に俺の事を聞かれたから、と言う訳ではないのだが、俺はそんな質問をしてみた。
単純に興味があったからだ。その質問に、彼女は天井を見上げ、ちょっと考えた後
「明るくて、元気な人。それに人前では決して涙を見せない人。」
「...それから?」
「それと.....どんなに辛い事があっても、くよくよしない人。」
「それって俺みたいだ。」
俺は元気だし、人前で泣かないし、辛い事があってもくよくよしない。
俺は少しおどけてそう言った。
「りゅうのすけ君は辛い事があっても、くよくよしないの?」
「しないよ。」
俺は胸を張って答える。すると彼女は嬉しそうに微笑み
「りゅうのすけ君にはいつまでもそのままでいて欲しいな。」
と言った。

「今日はそろそろ帰るね。あまり窓を開けっ放しにしても体に悪いから。」
それから更に10分ほど他愛のない会話をした後、俺は彼女にさよならを切り出した。
「.....そうね。」
彼女はちょっと寂しそうな顔をしながら、小さく頷く。
まだ彼女の顔色は悪くなっていないのだが、既に30分ほど窓を開けたまま話している。
これ以上外気に当たっていると体に悪いだろう。
「それじゃ、また明日の2時頃に来るから。」
俺はそう言い、木から下りようとした。が、
”.......?”
木の幹に手を伸ばし、俺は動きを止めた。上着のポケットに何か入っている感触があったのだ。
「.....忘れてた。」
急に動きを止め上着のポケットを探る俺を、彼女は不思議そうに見つめていた。
俺はそんな彼女の前に、手のひらに載るほどの紙袋を差し出す。
「メリークリスマス。」
それは、彼女のために買ったクリスマスプレゼントだった。
今日、病院に来る前に商店街で買ってきたのをすっかり忘れていたのだ。
彼女は一瞬、驚いた顔をした後、嬉しそうに笑った。
「.....私に?......ありがとう。嬉しい...」
彼女はそう言うと、俺の手から紙袋を受け取り、そっと中身を取り出す。
中から出てきたのは、小さな銀色のペンダントだ。
蓋を開ければ、小さな写真なども入れておける。
「わぁ〜、可愛いペンダント。」
「気に入ってくれた?」
俺がそう言うと、彼女は小さなペンダントを胸に抱きしめるように握り
「....ありがとう....凄く嬉しい...ずっと大切にするね。」
と言ってペンダントを首にかける。
その様子を微笑みながら見つめる俺。
「....あ、そうだ!」
彼女は何を思ったのか、急にベッドの脇にある小さな机の引き出しを開け、中から何かを取り出す。
「...これなんだけど....もらってくれる?」
彼女は机の中から取り出したものを、恥ずかしそうに俺の前に差し出した。
それは、小さな宝石箱のオルゴールだった。
「...私が赤ちゃんの時に、泣いてぐずる私をあやすために両親が買ってくれたの。」
親御さんが........?
「.....そんなに大事な物、貰っちゃっていいの?」
「...いいの。りゅうのすけ君に貰ってほしいの。」
驚く俺の手を引くと、彼女はオルゴールを俺の手の上に載せた。
彼女の微かな温もりが残るオルゴール。俺はしばらくそれを見つめた後、彼女に笑いかけた。
「.....ありがとう。俺もこれ、ずっと大事にするね。」

「りゅうのすけ君、お帰りなさい。」
彼女に会った帰り、町をうろつき8時ごろに帰宅した俺を美佐子さんが迎えてくれた。
唯の母親だからそれなりの年齢のはずなのに、未だに若々しくて奇麗な人だ。
「ただいま、美佐子さん。...唯はまだ帰っていないの?」
そろそろパーティーが終わり、唯も帰っている頃だと思い、俺は美佐子さん尋ねる。
すると美佐子さんは、口元に人差し指を当て、静かにするようにゼスチャーで示した後、
台所を指差す。
「唯ね、パーティーを途中で抜け出して来たの。
りゅうのすけ君と家でパーティーするんだってケーキを買ってきて。
でも、待ちつかれて寝ちゃったのよ。」
見ると、唯が台所の机にうつ伏せになり寝ている。
その前には、小さなデコレーションケーキが置かれていた。
”.....ふぅ。”
俺は苦笑いを浮かべながら、物音を立てないよう台所に入ると
唯の背中にそっとジャンバーをかけてやる。
唯の寝顔は、何やかんやと言いながら、子供の寝顔だった。
その顔を見た俺は、何故かほっとする物を感じた.......



12月25日


12月25日 8:30

「.....唯、キッチンなんかで寝るなよな。」
朝、俺は唯の顔を見るなり挨拶もせずそう言った。だが唯は嬉しそうに笑っている。
「ありがとう、お兄ちゃん。ジャンバーかけてくれて。すごく嬉しかったよ。」
「.....まったく...ちったぁ反省しろ。風邪引いてもしらねぇぞ?」
小さく”ごめんね”と言いながらも、唯の顔から笑顔が消える事はない。
「ところでお兄ちゃん?」
「ん?なんだよ?」
「お兄ちゃん、今日の午前中、何処かに出かける用事、ある?」
「別にないけど?」
何の気も無しに答えた俺に、唯は更に嬉しそうに笑ってみせる。
そして、何処に隠し持っていたのか、二枚の紙切れを取り出した。
それは、隣町にあるプールの招待券だった。
唯は何かを期待するように俺に視線を向けている。
「......プールの招待券か...サンキュ、ありがたく貰っとくよ。」
そう言うなり唯の手からプールの招待券をひったくる俺。
すると唯は慌てて
「ち、違うよお兄ちゃん!!」
俺の手から招待券を取り戻そうとする。
「何だ、くれるんじゃないのか...」
唯の言葉に俺は、あっさりと招待券を唯の手の上に戻した。途端、唯が悲しそうな顔をする。
.....もちろん、唯が何を言いたいかは分かっていた。
”.....たまには付き合ってやるのもいいか...”
俺は心の中で苦笑いを浮かべながら、そう決心する。
「さっさと着替えてこい。5分以内だ。」
「.....え?」
唯は不思議そうな顔をして俺を見詰めた。
だが、俺はそんな唯を無視し、言葉を続ける。
「5分経ってもリビングに来なかったら俺は何処かに出かける。
それと、外で俺の事をお兄ちゃんと呼んだら、俺は家に帰るからな。」
「う、うん!すぐに着替えてくるから!絶対待っててよ!!」
俺の言葉が理解できたのか、唯は驚いたような、嬉しいような顔をして
慌てて自分の部屋へと戻っていく。
”.....らしくないな...”
俺は自分に対して、苦笑いを浮かべる。何故、今回は唯の誘いを断らなかったのか?
ここ数年、唯から誘われても決して一緒に遊びに行く事などなかったというのに。
...昨日の夜、キッチンで見た唯の子供っぽい寝顔で昔の事を思い出したのか......
それとも、それを口実にして自分自身の心に従っているのか...
俺自身、分からなかった。


12月25日 8:40
鳴沢唯

「........何年ぶりだろう...」
お兄ちゃんと二人で遊びに行くのは?
....嬉しかった。本当に嬉しかった。
まさか、一緒にプールに行ってくれるとは思わなかった。
事実、ここ何年かは二人で遊びに行く事はもちろん、買い物に行く事すらなかった。
何度お兄ちゃんの事を誘っても
「二人で遊びに行くような歳じゃないだろ!」
って怒られてた。唯は今も昔も、お兄ちゃんと遊びたいのに。
でも、今日はお兄ちゃんと一緒に遊びに行ける。本当に嬉しい。
もちろん、遊びに行ける事が嬉しいんじゃない。お兄ちゃんと行ける事が嬉しいんだ。
「でも.....どうして急に?」
少しだけ不安になる。今まで何度誘っても、一緒に遊びに行ってくれる事なんてなかったのに、
どうして今日は一緒に行ってくれる気になったんだろう?
......分からない。お兄ちゃんが唯の気持ちに気付いてくれたなんて思えないし....
「唯ーーー!!もうすぐ5分経つぞーーーーー!!!」
お兄ちゃんの声で我に返る。時計を見ると、後1分で約束の5分を過ぎてしまう所だった。
「お兄ちゃん!待ってて!!今すぐ行くからーーー!!」
そう言って水着の入ったバッグを掴むと、慌ててお兄ちゃんの待つリビングへと走った。


12月25日 9:00

「唯さんじゃありませんか!」
もちろん、俺に対してかけられた声ではないが、俺は足を止めた。
背後から声をかけられた為にその人物の顔は分からないが、俺はその声を知っている。
俺の大嫌いな男、西園寺の声だ。
「あ、西園寺君。おはよう。」
俺と同じように足を止めた唯は、振り返り西園寺に声をかける。
奴は唯に声をかけられたのをいい事に、俺と唯の間に移動した。
「おはようございます。...おや?何処かへお出かけですか?」
この言葉ももちろん、俺にかけられたものではない。
俺とて奴に話しかけられても嬉しくはない。
奴は、3年になって唯と同じクラスになって以来、唯にちょっかいを出しているのだ。
それにしても...道端で会って”お出かけですか?”もないだろうが。
「うん。りゅうのすけ君とちょっと。」
唯にそう言われ、初めて俺の存在に気が付いたかのように奴は俺を振り返る。
「りゅうのすけ!!唯さんに付きまとうなと言ったはずだろう!!」
奴は俺に向き直るなりそう言った。......こういう奴なのだ。
世界中の女を自分の物だとでも思っているのだろうか?
だが俺は、こんな馬鹿の言う事に従ってやる義理はない。
「.....あ?誰に言ってるんだ?西園寺。」
奴を睨み付ける。はっきり言って俺は喧嘩が強い。もちろん、西園寺など目ではない。
その事は奴も分かっているのか、奴は慌てて俺から視線を外し、唯の方を振り返る。
「唯さん、りゅうのすけに無理矢理誘われたのでしょう。さ、僕と一緒に行きましょう。」
「ちょ、ちょっと?西園寺君?」
奴はそう言うなり、唯の手を引っ張りその場を立ち去ろうとする。とことん腐った奴だ。
一瞬俺は、奴を殴り倒してやろうかと思ったが、唯が居るため思いとどまる。
それに.....どうするかは唯自身が決める事だ。
俺は黙って唯の行動を見守る。すると唯は
「ちょっと、西園寺君!離してよ!」
唯にしては珍しく激しい口調でそう言うと、奴の手を振り払う。
「唯はお兄ちゃんに無理矢理誘われた訳じゃないよ!唯がお兄ちゃんを誘ったんだよ!」
唯の言葉に奴は”信じられない”といった顔をする。
「唯さん、無理をしなくてもいいんですよ。」
「無理なんかしてない!唯がお兄ちゃんを誘いたかったから誘ったんだよ!」
そこまで言われればさすがの西園寺も黙り込む。
......いや、奴はそれでも最後の抵抗を試みるようだ。
「し、しかし唯さん。こんな奴と一緒に居ては...」
「こんな奴なんで言わないでよ!唯のお兄ちゃんなんだよ!!.....お兄ちゃん、行こ!!」
それが止めの一撃だった。奴は唯の言葉で放心したように立ち尽くす。
そんな奴を尻目に、唯は俺の手を引き歩きはじめた。

それから数分ほど歩いただろうか....
「.....唯、さっき俺の事、”お兄ちゃん”って言っただろ...」
「え?」
俺の言葉に半歩ほど先を歩いていた唯が振り返る。
「......出かける前に言ったよな?」
「........うん。」
泣きそうな顔で頷ずく唯。
”外で俺の事を”お兄ちゃん”と呼んだら、俺は家に帰る。”
出かける前に俺は、唯にそう言っておいた。唯もその事は覚えていたのだろう。
「.....お兄ちゃん.....」
唯は上目使いに俺を見た。まるで自分がこれから捨てられると分かった小猫のように。
”.......やれやれ...”
俺はいきなり唯の頭をわしわしと髪をくしゃくしゃにしそうな勢いで撫でる。
「今度言ったら本当に家に帰るからな。」
「......うん!」
唯は嬉しそうに目を細めると、元気よく頷いた。

その日は結局、1時まで唯とプールで泳ぎ、
「家まで一緒に帰ろうよ。」
と言う唯を無理やり一人で家に帰すと、そのまま病院へ向かった。
そして彼女と他愛のない会話を交わし、楽しいひとときを過ごしたのだった。




あとがき

某月某日
杉本桜子

...25日はまったく出番がなかった......
私はヒロインじゃなかったの?
.......やっぱり私は不幸なのね.....
....そうだ...不幸の元を断つために、これから神社に行って作者に呪いをかけよう。
....まずはワラ人形を用意して....(クスッ)
綾辻「やーめーろーー!あとがきでそんな恐い事を言うのは!!」
桜子「....あら?そんな所に居たの?気付かなかったわ(ニッコリ)。」
綾辻「そ、その恐い笑いは止めてくれ...頼む...」
桜子「...そうね...あなたを苛めるのも飽きたし.....」
綾辻「.....私って一体...?(;;)」
桜子「さて、作者を黙らせた所でサクサクッとあとがき行ってみましょう♪
作者の暴走が元で書き始めたお話、折れた翼<前編>は如何でしたでしょうか?
まぁ、私としては25日は出番がなかったからちょっと不満って感じ?
で・も.....全国1千万の桜子ファンの皆さん、26日以降は大活躍するから待っててね〜(はぁと)」
綾辻「.....何かキャラが違うぞ....」
桜子「あら?もう復活したの?」
綾辻「もう復活したの?って......(;;)」
桜子「.....まぁいいわ。ところで、次からはどうなるの?」
綾辻「.....最初は原作(ゲーム)と同じような話にしようと思っていたのだが....
どうも原作があるとやりづらい・・・はっきり言って、物語というよりも説明文って感じだ。」
桜子「説明文.....そんなのを余所様に送るなんて良い度胸してるわね...」
綾辻「...言わんでくれ(TT)本当はちゃんと修正(実はこれ、昔書いたお話)してお送り
しようと思ってたんだけど、25日までは修正個所が多すぎて手が付けられなかったのだ。」
桜子「.....やれやれね。で、26日以降はどうなるの?」
綾辻「原作の事は忘れてみようと思う。って言うか、殆ど覚えていないから
想像して書いてみようと思ってる。...で、今後の展開だが.....」
桜子「.........(何かを察したのか、何処からか100tハンマーを取り出す。綾辻、その事に
気付かない。)」
綾辻「全く考えていない!」
桜子「やっぱりかい!!!(100tハンマーを容赦なく綾辻に振り下ろす。綾辻、為す術なく
沈黙する)」
桜子「と、とにかく!次回からは私が大活躍します!大活躍させます!大活躍できなかったら、
作者に止めを刺します!と、言う事で最後まで暖かく見守ってやってくださいね(はぁと)」

桜子、物言わぬ固まりと化した綾辻を引きずって失せにけり、失せにけり.....

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