Ｋａｎｏｎ Ｓｈｏｒｔ Ｓｔｏｒｙ
かおりんの恋は止まらない♪ ３
何もかもが眩しく見えた。
私達は商店街にある喫茶店「百花屋」でお茶をしていた。
祐一はコーヒー、私はと言うと・・・。
「くくくっ・・・」
「な、何よ？」
「何でもない、くくっ」
「も、もう」
「悪い、もう笑わないから」
そう言って祐一はコーヒーを一口飲んだ。
私はむっとしながらもスプーンを口に運ぶ。
ぱくっ。
口にした途端、顔が緩んでいくのが解る。
「うん、美味しい♪」
一度食べてみたかったのよ、ここのイチゴサンデー。
名雪の気持ちが少しだけ解った様な感じ、ふふっ。
そのまま一気に半分ぐらい食べた所でふと祐一と目があった。
笑顔を浮かべながら私の事見つめている。
あ、ひょっとしてずっと見られてたのかしら・・・。
なんか恥ずかしいわね。
「香里」
「何、祐一？」
「そうしてると普通の女の子に見えるな」
「そ、そう・・・って、ちょっとそれどう言う意味よ？」
「ごめん、言い方が悪かった」
祐一は急に真面目な顔になって謝る。
「今の香里の気分はどんな感じ？」
「えっ、そうね・・・結構楽しいわ」
「そっか、なら良いんだ」
私の答えに満足したのか、祐一はまた笑顔に戻って肯く。
「ちゃんと説明してくれないかしら？」
手に持っていたスプーンを置いて祐一の目を見つめる。
祐一はちょっと考える仕草を見せてから話す。
「香里は・・・いつも難しい顔してるからさ、特にここがね」
祐一はつんつんと私の眉間を人差し指で突っつく。
「香里がここにしわを寄せてるなんて見たくないからな」
「・・・祐一」
「と、言うわけで今だけでも笑ってくれ」
ふにふに。
今度は私のほっぺたを軽く引っ張りながら笑った。
さらに私が黙っていると祐一は調子に乗って両手で引っ張り始める。
全く人の顔で遊ばないでくれないかしら。
軽く息を吸って吐くと私は一回目を閉じて、それからニコリと笑って言う。
「祐一・・・それって楽しい？」
ふにふに。
「おう、面白いぞそれに・・・」
ふにふに。
「それに？」
ふにふに。
「香里のほっぺたってすっごく柔らかくて気持ち良いぞ」
「ば、ばか・・・」
ようやく手を離したと思ったら今度は両手で顔を押さえるとじっと見つめる。
「香里」
「な、なに？」
「クリーム着いてるぞ」
「うそ、ど、どこに？」
「今取ってやる」
ちゅっ。
「！？」
身を乗り出してきた祐一に素早くキスされた。
ああっ！？ こんな所でいきなりなにすんのよ！！
は、恥ずかしいじゃない！
「よし、綺麗に取れたぜ」
椅子に座り直した祐一は残っていたコーヒーを嬉しそうに一気に飲んだ。
あ〜んもう、ずっと祐一にリードされっぱなしで悔しい。
でも、それが嫌じゃない、むしろ嬉しく感じちゃう自分がもっと悔しい。
私は無言のまま、赤面しながら残っていたイチゴサンデーを食べた。
百花屋を出た後、私は祐一に手を引かれてウインドショッピングしながら商店街を
歩き回る。
ブティックでいろんな服に着替えて祐一に見せると大げさに喜んでいた。
「これどうかしら、祐一？」
「お、おう似合っているぜ！」
祐一が眩しそうに私の事見てたっけ・・・、ふふっ。
時計屋では「香里の声で朝は起こされたいなぁ」なんて言って強引に買ったばかりの
目覚まし時計に声を入れさせられた。
「ぜぇ〜ったい名雪に聞かれないでよ！」
「分かってるって」
いまいち信用できないけど・・・まっ、いいわ。
それから後は・・・そう、最後の店は祐一は妙に後込みしてたのよねぇ・・・。
「げげっ、たっかいなぁ〜なんて値段なんだ？」
「そう、これぐらいなら安い方よ」
「へーへー」
「あっ、これも綺麗だわ」
「なあ香里、ひょっとして俺にそれを買えと？」
「ううん、祐一にそんな甲斐性有るわけ無いじゃない」
「ううっ、そう言いきらんでも・・・」
「ふふっ、冗談よ♪」
私はショウケースの上に展示してあるシルバーリングを一つ取って指にはめてみる。
ちょっとだけ眺めてから外そうとしたら祐一が私の手を押さえて止めた。
「すいません、これ一つお願いします」
「はい、ありがとうございます」
「ゆ、祐一！？」
ビックリしている私にウインクしてそのまま店員さんと話を続ける。
「指にはめたままでも良いですか？」
「はいそれはかまいません、それで料金はこちらになります」
「はい」
「丁度お預かりします、ありがとうございました」
店員の挨拶を背中越しに聞いて、私達はお店の外へ出た。
横にいる祐一の横顔は真っ赤だった、全く無理しちゃって・・・。
「ありがとう祐一」
「お、おう」
祐一ったら今度は耳まで赤くなってる・・・もの凄く照れてっるて感じだわ、ふふっ。
でも本当に嬉しかったわ。
「祐一」
「お、おう何だ？」
「ふふっ、何でもない」
「お、おう」
ありがとう・・・祐一。
「さ〜てと、これからどうしようかな？」
「そうね・・・」
いつもの帰り道を祐一と手を繋いだまま、ゆっくりと歩いていた。
こんなに回りの景色を眺めながらゆっくり歩いたのは初めて。
通い慣れた道だけど今までと違って見える・・・、これって祐一の所為かな？
「そうだ、俺の部屋に来るか香里？」
「祐一の部屋？」
なんか祐一の奴ニヤニヤしている・・・。
「変な事しないでしょうね？」
「変な事って？」
何で聞き返してくるのよ、もしかして私に言わせようとしてるのかしら。
「そ、それは・・・あ、あれよ」
「んん〜、分からないなぁ・・・、なんだろう？」
くっ、祐一の奴分かってやってるわね・・・、もうっ。
「はい、到着〜♪」
「ええっ？」
ああっ、ここ祐一の家じゃない！？ いつのまに・・・。
「変な事しないから寄ってく？」
「本当に何もしない？」
「少なくとも香里が嫌がる事はな」
祐一の目をジッと見る・・・。
「どうする？」
少なくともいやらしさは感じない。
「分かったわ、それじゃお邪魔させてもらうわ」
「ＯＫ」
祐一は上機嫌で私の手を引いて家の中に案内した。
でも、ちょっとだけ不安だわ・・・、早まったかしら？
終わり
どうも、じろ〜です。
かおりんＳＳ期待（？）の第三弾です♪
べたべたです、首すじが痒くてたまんないです。
さて、もし次が有るとすれば嬉恥ずかし彼のお部屋編です（笑）
ではでは。
じろ〜さん、ＳＳ投稿ありがとうございます！
早まってるぞ、香里〜〜〜〜！！！
スイマセン、心の叫びでした（爆）
三話まで読んだ方々はもう香里の魅力の虜になっているでしょう！（私？ 元々虜になってます（爆））
じろ〜さんはNorth
Book CityのＨＰ主催者で、Kanonの他、Piaキャロ2、エヴァ、センチ、こみパ、ToHeart、エースコンバット３等、幅広いジャンルの素晴らしいＳＳを沢山書いておられます。
まだこのＨＰを知らない方は是非、上記のリンクより御覧になってください！
また、このＳＳの感想をじろ〜さんに伝えましょう！
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